stand.fm「弁護士しんみなとの弁護士の法律ラボ」書き起こし
【2022年9月20日放送 #5 条文を読もう!その2-条文を読むときに知っておくべき言葉たち-】
今日は、条文を読む上で必要な用語の説明をしたいと思います。
たとえば、条文の中には、「並びに」「及び」という英語のandを意味する言葉がよく使われるんですが、実は、これも使い方のルールがあります。
このような用語の説明をします。
若しくは・又は
どちらも英語の「or」の意味ですね。
しかし、日本語では明確に使い分けがなされています。
「又は」を使う
具体的には、2つのものや3つ以上のものを並列的に並べて選択肢とする場合は、「又は」を使います。
たとえば、「今日の晩御飯、ハンバーグとカレーどっちがいい?」という場合、2つのものを並べているので、「今日の晩御飯は、バンバーグ又はカレーのどちらを希望されますか?」ということになります。
さらに、グラタンが選択肢に入ってきた場合、「ハンバーグ、カレー又はグラタン」となります。
3つ以上のものを並べるときは、最後の選択肢のところだけに「又は」を入れて、それ以外の選択肢は「、(読点)」で繋ぎます。
「若しくは」を使う
次に、「若しくは」は、3つ以上のものを並列的ではなく、より大きなグループ、より小さなグループに分けて並べる時に使います。
たとえば、「今日の晩御飯は、和食だと焼き魚、洋食だとハンバーグかカレーができるけど、どれがいい?」という場合です。
大きなグループ分けとしは、「和食か洋食か」を選択でき、洋食を選択した場合は、小さなグループとして、「ハンバーグかカレー」を選択できることになります。
ですので、このときは、大きなグループには「又は」を小さなグループには「若しくは」を使います。
つまり、「今日の晩御飯は、焼き魚又はハンバーグ若しくはカレーのいずれを希望されますか?」ということになります。
念のため、実際の条文でも確認しましょう。
民法90条
民法7条
民法111条
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
並びに・及び
次は、「並びに」と「及び」です。
これは英語でいう「and」なんですが、日本語ではきっちりルールがあります。
こういうところが日本語の難しいところなんでしょうね。
「及び」だけでいいじゃんとはならないんですね・・・
「及び」を使う
具体的には、2つのものや3つ以上のものを並列的に並べる場合は、「及び」を使います。
たとえば、「今日のイベントの参加者は、岸くんと河野くんだよ。」という場合、2つのものを並べているので、「今日のイベントの参加者は、岸くん及び河野くんです。」ということになります。
さらに、このイベントに石破くんも参加することになった場合は、「岸くん、河野くん及び石破くん」となります。
3つ以上のものを並べるときは、最後の選択肢のところだけに「及び」を入れて、それ以外の選択肢は「、(読点)」で繋ぎます。
「並びに」を使う
次に、「並びに」は、3つ以上のものに大きなグループと小さなグループがある場合に、大きなグループについて「並びに」を使います。
たとえば、「今日のイベントの参加者は、男性2名で岸くんと河野くん、女性1名で高市さんです。」という場合、参加者を性別という大きなグループと性別の中のより小さなグループである男性のグループに分けることができます。
つまり、この場合、まずは大きなグループとして「男性2名並びに女性1名」とわけることができ、女性は高市さん1名ですから、「男性2名並びに高市さん」となります。
そして、より小さなグループである男性2名に岸くんと河野くんが含まれますので、「岸くん及び河野くん並びに高市さん」となるわけです。
まとめると、「今日のイベントの参加者は、岸くん及び河野くん並びに高市さんです。」と表現することになります。
念のため、実際の条文も確認しておきましょう。
労働基準法第12条第4項
この条文では、「通貨で支払われるか否か」という大きなグループで分けた上で、通貨で支払われるものの中で2つは算入しないよということになっています。
理解できたでしょうか?本日はここまでです。
次回も引き続き、条文を読むうえで知っておくべき用語を説明していきます!
では、本日も頑張っていきましょう!