stand.fm「弁護士しんみなとの弁護士の法律ラボ」書き起こし
【2022年10月19日放送 #6 条文を読もう!その3-条文を読むときに知っておくべき言葉たち-】
今日は、引き続き、条文を読む上で必要な用語の説明をしたいと思います。
今回は、数量の基準に関する用語と時間的な前後関係に関する用語を説明します。
数量の基準に関する用語
まずは、数量の基準になる用語です。
具体的には、「以上、以下」と「超える、未満」の違いです。
この辺りは、日常用語でも使用するので、その違いはわかるかと思います。
端的に、その基準値を含むか含まないかの違いですね。
たとえば、刑法などで「30万円以下の罰金」という条文が出て来たりしますが、この場合、裁判所は被告人に対して罰金30万円という刑罰を科すことができるかというと・・・どうでしょうか?
今回は、「以下」という言葉を使用していますので、30万円という基準値は含まれます。
よって、裁判所は罰金30万円という刑罰を科すことができます。
では、「18歳未満の者には、選挙権はない。」と書いてあった場合、18歳の子には選挙権はあるのでしょうか。
どうでしょう?
今回は、「未満」という言葉を使用しているので、18歳という基準値は含まれないことになります。
よって、18歳には選挙権があることになります。
このように、「以上、以下」は基準値を含み、「超える、未満」は基準値を含まないということになります。
一点注意点ですが、「●●を超えない」という場合、これは「以下」を意味しますので、基準値を含むことになります。
これだけは注意しておきましょう。
時間的前後関係に関する用語
続いては、時間的前後関係に関する用語です。
具体的には、「以前、以後」と「前、後」です。
こちらについても、基準時点を含むか含まないかの違いになります。
たとえば、「平成31年4月以前」と記載されていれば、平成31年4月を含んで、それより前ということになります。
一方、「平成31年4月より前」と記載されている場合、平成31年4月は含まれないことになりますので、平成31年3月以前という意味になります。
まとめ
まとめると、ポイントは「以」という言葉です。
「以」が含まれる場合は、基準値ないしは基準時点を含むということになります。
細かい言葉の意味の違いですが、条文を理解するだけではなく、実務家として契約書などの法的文書を作成する際も、この用語の違いを意識しておかないと取り返しのつかないミスにつながることもありますので、細かいですが、皆さん将来実務家になる訳ですから、今からしっかり意識しておきましょう。
では、本日は以上です。
次回も条文でよく出てくる用語の説明をしたいと思います。
本日も頑張っていきましょう!