stand.fm「弁護士しんみなとの弁護士の法律ラボ」書き起こし
【2022年10月22日放送 #9 法律を分類しよう!その2 どっちの法律ショー!!】
弁護士のしんみなとたくみです。
本日も法律の分類について学んでいきましょう。
今日学ぶのは、同じ状況で適用できそうな法律が2つあった場合、どっちの法律が優先されるのかというお話です。
たとえば、皆さんはマンションやアパートを借りたことはありますか?
借りたことある方ならわかるかと思いますが、マンション等を借りる場合にマンションのオーナーさんと結ぶ契約って何でしょうか?
そう、賃貸借契約ですね。では、この賃貸借契約を規律している法律は何でしょうか?
賃貸借契約は一般的に国民同士の関係になりますから、ヨコの関係、つまり、私法関係ですね。
ですから、賃貸借契約に関する規定は、民法の中にあります。
ここで、民法だけにしか定めがなければ、何かトラブルになったときに民法の規定に従って解決すればいいとなります。
しかし、法律を探してみると、賃貸借契約について規律している別の法律が見つかるのです。
それが、「借地借家法」です。
そして、民法と借地借家法の規定を比較するとこんな違いがあります。
- 民法の場合
- 賃貸借契約の存続期間は、50年以下
- 借地借家法の場合
- 建物の賃貸借契約の存続期間は、制限なし。
また、1年未満の期間を定めると期間の定めのない契約となる。
おやおや、何か違いますね。
たとえば、皆さんが生活するためにマンションの賃貸借契約を締結しようとしたときに、オーナーさんから1カ月だけならいいよと言われました。
皆さんとしては、生活のために借りるからもっと長くそのマンションに住みたいなと思っていました。
しかし、オーナーからこう言われます。
「民法の規定では、賃貸借契約の期間は50年以下であればいいから、1カ月でもいいんだ!」と。
そんなこと言われたら、とりあえず住むところを確保したい皆さんからするとやむなく契約しちゃうかもしれませんよね?
けど、こんな契約許しちゃうと、1カ月おきに皆さんは礼金や仲介手数料とか色んなお金を支出しないといけないですし、転居の度に住民票を移したりとめちゃくちゃ不利益を被るわけです。
しかし、借地借家法が適用されるとなると、オーナーが貸す期間を1カ月と賃貸借契約書で定めたとしても、その期間はないものとして、期間の定めなく皆さんはマンションを借りられるわけです。
では、結局、どっちの法律が適用されるのでしょうか?
結論から言うと、借地借家法です。
それはなぜかというと、民法は、「一般法」と言われています。
賃貸借契約と言っても、今回のような人が住む家を借りる契約もあれば、車を借りる契約やDVDを借りる契約などたくさんの賃貸借契約の種類がこの世の中にはあるわけです。
これらの多種多様な賃貸借契約に広く一般的に適用するために作られた法律が民法なわけです。
しかし、このように一般的な規定にした場合、先ほど申し上げたような家など国民生活にとって重要な賃貸借契約の場合、民法では不都合が生じる可能性があるわけです。
それでは、マズいということで、家を借りる賃貸借契約の場合は、借りる側をより保護してあげないといけないよね?だって、貸す側のわがままですぐに家を追い出されたら多くの国民が路頭に迷うじゃん!ということで、民法の一般原則をある特定の場合に限って特別に修正しますよ~という法律ができるわけです。
このような法律のことを「特別法」と言います。
そして、今日覚えていただきたいことは、この言葉です!!!
「特別法は一般法に優先する」
つまり、特別法が定める特別な法律関係に該当する場合は、一般法は適用せず、特別法が適用されるということです。
先ほどの賃貸借契約の場合、建物を生活する目的で借りる賃貸借契約という特別な場合には、民法ではなく借地借家法が適用されるということです。
いかがでしょうか?
一般法と特別法の違いをしっかり理解してください。
本日は以上です。
では、今日も一日頑張っていきましょう!