法律はじめの一歩

法律を分類しよう!その3-カオスな世界は嫌だぜ~-

stand.fm「弁護士しんみなとの弁護士の法律ラボ」書き起こし

【2022年10月23日放送 #10 法律を分類しよう!その3 カオスな世界は嫌だぜ~】


弁護士のしんみなとたくみです。

本日も、法律を分類しようシリーズです。

分類シリーズは今日で終わりです!

最後の分類は、権利があるのとそれを実現するのは全く別だよという話です。

はぁ?って感じですよね。

これは、法律が何のために存在するのかという視点での分類です。

具体的に見ていきましょう。

これまで、私のstand.fmを聞いていただいている方であれば、民法のイメージはある程度できてきたと思います。

前回のお話で、賃貸借契約が出てきました。

そこで、今回も賃貸借契約を使って説明したいと思います。

マンションの賃貸借契約を締結すると、契約の当事者である貸主と借主にはどのような効果が発生するでしょうか?当事者は何をしないといけないでしょうか?

マンションの賃貸借契約を締結したことがある方なら何となくわかりますよね?

【借主】

貸主に賃料を払わないといけない。ちゃんと払っていれば、そのマンションに住んでいられる。
【貸主】

借主にマンションの鍵を渡して住まわせないといけない。その代わりに、借主から賃料をもらうことができる。

ごく簡単ですが、こんな感じですよね?

つまり、賃貸借契約を締結した当事者には、それぞれ権利と義務が発生するのです。

借主には、家に住める権利と賃料を払う義務が、貸主には、賃料をもらう権利と家に住まわせる義務が発生する訳です。

そして、このような権利義務が当事者に発生するんだよ~って書いてあるのが「民法」です。

民法の条文を読んでみますね。

【民法601条】

賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

ちゃんと書いてあったでしょ。

このように、当事者に発生する権利義務の内容について規定している法律のことを「実体法」と言います。

ですから、民法は実体法です。

しかし、先の例で、貸主は民法という実体法のおかげで借主に賃料を払ってもらえるという権利を取得しましたが、もし借主が賃料を払ってくれなかったらどうなりますか?

権利があっても実現していない状態になるわけです。

つまり、権利が画に描いた餅状態になるわけですね。

じゃあ、このとき貸主はどうすれば権利を実現できるでしょうか?

借主の帰りを待ち伏せて、借主を襲って財布から賃料分のお金を奪い取りますか?もはや、強盗ですね・・・

日本は法律によって規律されている法治国家ですから、このような自力で権利を実現することは認められていません。

このことを難しい言葉で「自力救済の禁止」と言います。

自力救済を認めてしまうと日本各地の路上で強盗事件が多発し、社会秩序がカオスになります。

そこで、もっと冷静に理性的に権利を実現する方法を法律はちゃーんと準備してくれています。

具体的には、今回の賃料の話であれば、貸主は借主に対して、ちゃんと賃料払ってよと民事訴訟を起こせばいいのです。

そして、この権利を実現するための手続きである民事訴訟について規定している法律が、民事訴訟法です。

このように、実体法で発生した権利を実現するための手続きを規定している法律のことを「手続法」といいます。

絵に描いた餅を実際の餅にするための手続きを定めた法律ということです。

いかがでしょうか?

少し難しい話でしたが、実体法と手続法との関係はわかりましたか?

しっかりとイメージを持ってくださいね。

それでは本日は以上です。

今日も一日頑張っていきましょー!

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