法律はじめの一歩

憲法の全体像-国の暴走を止めるのだ!-

stand.fm「弁護士しんみなとの弁護士の法律ラボ」書き起こし

【2022年10月24日放送 #11 憲法の全体像 国の暴走を止めるのだ!】


弁護士しんみなとたくみです。

今日からは、個別の法律の簡単な全体像をお話します。

なんとなーくのイメージを掴んでいただければ大丈夫です。

なお、より詳しい内容は、YouTube講座で解説しますので、司法試験や予備試験を目指す方はそちらを受講してください。

今日は、憲法の全体像についてお話したいと思います。

以前、タテとヨコの関係の話をしましたが、憲法は、タテの関係、公法に属するということをお伝えしました。

その際、大きな権力を手に入れた者は暴走しがちという話もしました。

では、国の暴走を止めるためにはどうしたらいいでしょうか?

考えられる方法としては、3つあります。

  • 1つ目は、国家権力の範囲を何かで制限してしまう。
  • 2つ目は、国民に盾を持たせて国家権力が介入してきたときに跳ね返せるようにする。
  • 3つ目は、国家権力の発動に足かせを付けて行使しづらくする。権力を一極集中にしないということです。

そこで、憲法は、法の支配という考え方を取り入れました。

①国家権力の範囲を何かで制限する

これは、国家権力を法律により支配し、権力者の身勝手な権力行使を認めないようにしました。

素晴らしいですね、法律を守らせればいい訳ですね。

しかし、こう思いませんか?

国家権力を支配するその法律って、それも権力者が作ってるんじゃないの?権力者に都合のいい法律作れば、身勝手に権力行使できるじゃん!って。

確かにそうですね。しかし、憲法はこの点もしっかりフォローしています。

憲法98条1項を見てみましょう。

憲法98条1項

この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

つまり、憲法は法律よりも力が強いということです。

権力者が憲法に反する法律を作って身勝手な権力行使をしようと思っても、その場合、その法律は無効になるのです。

こうすることで、国家権力の暴走を阻止しているのです。

では、その法律よりも力の強い憲法にはどんなことが規定されているのでしょうか?

それが先ほどの2つ目と3つ目の話に繋がります。

②国民に盾を持たせる

2つ目は、国民に盾を持たせるという話でした。

この盾が「人権」です。

憲法は、国民に対して人権を保障しています。

たとえば、憲法では、信教の自由と言って、国民はどんな宗教でも自由に信仰ができるという自由を保障しています。

それにもかかわらず、国が、「君は仏教を信仰しなさい。」と介入してきたとしましょう。

その時、この信教の自由を盾として、国民は、国に対して、「うるせ~勝手にさせろ!」と跳ね返すことができるのです。

これにより、国家権力の暴走を防いでいるのです。

③国家権力に足かせをつける

最後に、3つ目の国家権力に足かせをつけるという点です。

憲法には、先ほどの「人権」だけでなく、「統治機構」というものも規定しています。

そこには、国家権力は、立法権、行政権、司法権の3つに分けるという三権分立が規定されています。

権力が一極集中してしまうとより暴走しやすいですが、権力を分けることによって、暴走を防いでいるのです。

さらに、三権にそれぞれの権力を監視牽制させることで、より暴走を防いでいるわけです。

まとめ

まとめると、憲法の役割は、国の暴走を防止することです。

その手段として、憲法を最高法規として位置づけ、国民に人権という盾を与え、国家権力自体を分けるとしているわけですね。

では、本日は以上です。

今日も頑張っていきましょう!

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